1886年、モンテベロの畑に初めてブドウが植えられ、ワイナリーの建設が始まった。ワインが初めて造られたのが1892年のことである。1940年代前半には、古いブドウ畑の最後の区画が打ち棄てられたが、1940年代後半になるといくつかの区画にブドウが植え直されている。現在、樹齢65年を迎えるこの時のカベルネの樹から、1962年に初めてリッジ・モンテベロが生産された。1974 年まで、同じ区画のブドウでワイン造りが続けられている。その頃になると、他の打ち棄てられていた区画に再植されたブドウ樹も成木になっていたから、そこからの果実もモンテベロに用いられるようになった。一方で、それらの区画の多くは、若い時分から複雑味を発展させ、飲み頃を迎えるようなワインをいつも生んでいたので、「サンタ・クルーズ・マウンテンズ」という名で別に瓶詰めされるようになる。2008年ヴィンテージより、スタイルがモンテベロと異なるこのワインは、「リッジ・エステート・カベルネ・ソーヴィニョン」にその名を変えた。新しい名は、主要品種の名前と、モンテベロの自社畑産のブドウであることを強調している。

初ヴィンテージ：
サンタ・クルーズ・マウンテンズ 1978
エステート・カベルネ・ソーヴィニョン 2008

位置:モンテベロの自社畑は、単独の原産地呼称 サンタ・クルーズ・マウンテンズ内に位置する。ノース・コースト地区とセントラル・コースト地区を分かつ原産地呼称だが、そのいずれにも属していない。 標高: 396〜813メートル 土壌: 小さく割れたフランシスカン・グリーン・ストーンに埴壌土の混じる土壌で、破砕石灰岩の下層土が下にある。

降雨量:556mm（平年以下）
開花時期:6月上旬
天候:12月と1月はとても雨が多く、干魃を和らげてくれた。4月の天候は冷涼で、標高の低い畑の収量が若干減っている。6月下旬と7月下旬の暑さのおかげでブドウ樹の生育が進んだ。収穫は9月中旬に始まり、最後のカベルネのロットが10月第2週にワイナリーへと到着している。
収穫日: 9月10日〜10月6日
ブドウ糖度: 平均23.9度
発酵: 除梗のあと選果。果粒は100%無破砕。天然酵母でのアルコール発酵を経て、マセレーション開始後5日目に圧搾。天然乳酸菌でのマロラクティッ ク発酵は、当初タンク内で生起し、樽内で完了した。12週間にわたって澱との接触をさせている。
樽の構成: 天日乾燥させたアメリカンオーク100%
（新樽35%、1年使用樽20%、2年使用樽45%）。
熟成: 樽内で17ヶ月。
持続可能な方法で栽培したモンテベロの自社畑産ブドウを使用。手収穫。除梗ののち選果。天然酵母でアルコール発酵の後、天然乳酸菌でマロラクティック発酵を100％実施。最小限の亜硫酸添加（破砕時に35ppmを添加し、熟成期間中74ppmを追加）。瓶詰め前にパッド・フィルターで濾過。最低限の人為的介入という我々の哲学に沿って、すべての工程が行われた。
2016 エステート・カベルネ・ソーヴィニョン
（2018年6月瓶詰め）

穏やかな冬のおかげで芽吹きは早くなったが、春に寒の戻りがあったためにブドウ樹の生育速度は減じた。夏の暑さは、季節外れの夜の寒さと霧に よって相殺されたので、酸味が強く、タンニンが堅牢になった。発酵を短くしたおかげで、タンニンの骨格のバランスがとれている。このワインは、魅力的な果実味とエレガンスを備えたロットを組み合わせたものだ。今すぐ楽しむことができるが、この優れたヴィンテージは、これから15年の間に熟成のピークに到達するだろう。