1886年、サンタ・クルーズ山脈中にある標高の高い場所に、モンテベロの自社畑が拓かれ、ワイナリーの建設が始まった。若木から初めてワインが造られたのが1892年のことである。禁酒法（1920〜1933年）の期間、ブドウ畑の管理はなおざりで、ブドウ樹の一部は30年代の後半まで生き延びたものの、1940年代には実質上打ち棄てられた状態だった。 8エーカーのカベルネ・ソーヴィニョンが植えなおされたのが、1949年のこと。この樹の果実から、リッジによるモンテベロの初ヴィンテージが造られた（1962年）。それ以来、この山中の畑は、徐々に植え直されてきている。
モンテベロの初ヴィンテージ: 1962

降雨量:711mm（平均以下）
開花時期:6月上旬
天候: 春は涼しく、夏と秋の気温は高かった。短めの生育期間となっている。

収穫日: 9月2３日〜10月12日
ブドウ糖度: 24.6度（平均）
発酵: 除梗はするが果粒は無破砕。自動選果機で果粒の選別をしたあと、人手での選果を行っている。天然酵母でのアルコール発酵を経て、天然乳酸菌でのマロラクティック発酵。マセレーション開始後6日目に圧搾。
樽の構成: 天日乾燥させたアメリカンオークの新樽97%、1年使用樽1%。別途、比較試験用に2%をフレンチオークの新樽で熟成。
熟成: 樽内で19ヶ月。

モンテベロの初ヴィンテージ：1962
位置：モンテベロの山はサンタ・クルーズ山脈内にあって、50キロ北のサンフランシスコを見降ろし、西の太平洋まで24キロの位置にある。ノース・コースト地区とセントラル・コースト地区を分かつ原産地呼称だが、そのいずれにも属していない。
標高: 400〜810メートル
土壌: 小さく割れたフランシスカン・グリーン・ストーンに粘土の混じる土壌で、破砕石灰岩の下層土が下にある。
ブドウ樹: カベルネ・ソーヴィニョン 1949〜1993年植樹（66.4エーカー）、メルロ 1970〜1997年植樹（12.8エーカー）。
仕立て: 長梢剪定の垣根仕立て
灌漑: なし（若い樹が成木になるまでは例外で、ドリップ式灌漑を実施）
収量: エーカーあたり1.34トン

すべてモンテベロの自社畑産ブドウを使用。手収穫。破砕ののち選果。天然酵母で発酵の後、天然乳酸菌でマロラクティック発酵を100％実施。合計で0.86%、発酵中に加水を行った（カベルネ・ソーヴィニョンのタンク3つに対して実施）。最小限の亜硫酸添加（破砕時に35ppmを添加し、熟成期間中78ppmを追加）。無清澄。瓶詰め前にパッド・フィルターで濾過。最低限の人為的介入という我々の哲学に沿って、すべての工程が行われた。

2009 モンテベロ
（2011年6月瓶詰め）

凍てつく冬が長く続き、春も涼しかったためにブドウ樹の芽ぶきは遅かった。だが、夏の気温は高かったので、例年並の進行に後から追い付く形となった。最後の果実が収穫されたのは10月12日で、大雨の前日である。翌年2月に最初のブレンド（アッセンブリッジ）を行ったのだが、この際にはエステート・カベルネ用の区画もひとつ、ブラインド・テイスティングに含められている。大変に強靭なワインだったからで、結果としてモンテベロのブレンドに含められた。このとき、モンテベロ用の19の区画からは、15区画が選び出されている。5月に行われた二度目のブレンドで、さらに2つの区画が追加された。10年、20年、30年と熟成させれてやれば、この卓越したヴィンテージのモンテベロは、世界のどこで造られた最高のワインにも負けないであろう。

エリック・ボーハー（2011年3月）