ほぼ幻!?
新星ミクロネゴスの
〈 エイメ・ヴァディム 〉
■「Wine Report」より抜粋■
〈科学者の手掛けるピュアなワイン、新星ミクロネゴスのエイメ・ヴァディム〉日本ではまだレーダーに捕捉されていない、ブルゴーニュのミクロネゴスを試飲した。その名をエイメ・ヴァディム(Ayme Vadim)。プルミエクリュとグランクリュに特化している。オリヴィエ・バーンスタインをちょっと連想させる。
パリ・ベースのソムリエ、染谷文平さんが持ち帰った。シャルル・ド・ゴール空港の混乱で、いったんロスト・バゲージとなり、フランクフルトまで行ってしまったが、無事日本に届いた。たらい回しになった割には、素性の良さは残っていた。
モスクワ生まれの分子生物学者
ジュリアン・メイヤーやフィリップ・パカレに感化
モスクワ生まれのバァディムは分子生物学の博士号を持つ科学者。ドイツで酵母の研究をしている間に、発酵から生まれる産物に興味を抱いた。アルザスのビオディナミ生産者ジュリアン・メイヤーなどで試飲して、ワイン造りの一端にふれ、2010年にボーヌに移った。
ボーヌ農業促進・職業訓練センター(CFPPA)で学んで、プリューレ・ロックに感銘を受けたという。フィリップ・パカレら造り手のたまり場だったビストロ「レガラード」(Regalade)のシェフ、マリア・ゴンサルヴェス(Maria Goncalves)と出会い、ワインの販売と料理イベントの会社を興した。
ワインの供給が難しくなったため、農家を訪れて、ブドウを購入して自ら造り始めた。マリアの料理にほれていた造り手たちの協力もあっただろう。最初のヴィンテージは2015。科学者がワインの動きを分析しながら、介入を最小限に抑えて造っている。ジャン・イヴ・ビゾやドミニク・ローランと交流がある。
亜硫酸とポンプの使用を避ける野生酵母で発酵。亜硫酸は必要な場合だけ、マロ後と瓶詰め時に加える。樽業者は果汁の特性に合わせて選ぶ。月が欠けていく時期に瓶詰めする。清澄・濾過はしない。果汁を疲れさせるポンプの使用を避けている。瓶詰め時も樽から直接詰める。1つのキュヴェが1樽しかないから、瓶差は気にしなくていい。
マリアが染谷さんの昔からの知り合いで、インスタの投稿を見て、ワインを発見したという。染谷さんの紹介で、日本に輸入された。長期熟成を好むため、蔵出しが遅く、ヴィンテージが古いのはうれしい。
「エイメ・ヴァディム ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ レ・ルージュ・デュ・ドシュ 2015」(Ayme Vadim Vosne Romanee 1er Cru Les Rouges Du Dessus 2015)はエシェゾーの上部にあり、コンブの影響を受けてやや涼しいテロワール。スミレ、レッドベリー、ダークラズベリー、オレンジ、シルキーで、ジューシーなエキスが凝縮している。ヴォーヌ・ロマネらしいシナモンなどのスパイスがあり、骨格はしっかりしている。深みがあり、ハーモニアス。繊細で正確なフィニッシュ。92点。
「エイメ・ヴァディム ヴォルネイ・プルミエクリュ クロ・デ・シェーヌ 2015」(Ayme Vadim Volnay 1er Cru Clos des Chenes 2015)は言うまでもなくヴォルネイ最良のクリュ。色調はより濃厚で、グリップが強い。ダークチェリー、シャクヤク、下草、目が詰まっていて、アーシーなニュアンス。集中力があり、下半身がしっかりしている。シームレスなフィニッシュ。深みと広がりがある。93点。
クラシックな造りのピュアなワインで、バランスがよい。これが初ヴィンテージなので伸びしろはある。ヴィンテージを考慮すると若い。ラベルは3Dのエンボスを使って、しゃれている。
ブルゴーニュの新星もシャンパーニュと同様にSNSの段階で買い手が決まるようだ。